俺の新妻~御曹司の煽られる独占欲~
「俺と鈴花は愛のない契約結婚をした」
「はい……」
「だけど、俺は愛する妻と結婚し幸せに暮らしているとアピールしないと契約結婚をした意味がない」
和樹さんがなにを言いたいのかわからなくて、私は首をかしげながらうなずいた。
「仲睦まじい夫婦を演じるためには、普段から少しくらいのスキンシップは必要だと思わないか?」
「スキンシップ……」
まぁたしかに。ふだんの私たちは夫婦どころかちょっとした知り合い程度の他人行儀な距離感だ。
ふたりでいるところを誰かに見られても、仲睦まじい新婚夫婦だとは思われないかもしれない。
「スキンシップをすることになにか問題はあるか?」
「とくに問題はないですが……」
とはいえ、スキンシップっていったいなにをするんだろう。と思っていると和樹さんが私に確認するように言う。
「じゃあ少しだけ、抱きしめさせてくれ」
「抱きしめるって、あの、でも……っ」
私が戸惑いっている間に、和樹さんの長い腕が私の体の前でクロスされる。背中にたくましい体が触れ、髪に彼の頬が触れた。
密着した体に、一気に鼓動が速くなる。