俺の新妻~御曹司の煽られる独占欲~
裏
社外での仕事を終え執務室に帰ると、デスクの上には稟議の必要な書類や、明日の会議のための資料、留守中にあった電話やメールの用件などがわかりやすくまとめられていた。
優先順位の低いものは明日に回すことにして、今日中に片付ける必要のある書類を順番に目を通す。
以前なら目の前の仕事が全て片付くまで会社に残っていた。深夜までの仕事をしたり帰るのが面倒で執務室のソファで仮眠をとる、なんてことも珍しくなかった。
けれど鈴花と結婚してからは変わった。
誰かが待っていてくれる家に帰るのが、こんなに心休まるものだとは知らなかった。
食事なんて高級レストランだろうがサプリメントだろうが、胃に入り栄養になればかわらないと思っていたはずなのに、鈴花が俺のために用意してくれる料理を毎日楽しみにしている自分がいる。
彼女が作ったと思えば、一生口にすることはないだろうと思っていたナスでも食べることができたなんて、驚きだ。
少しでも早く彼女の顔が見たくて、余裕のある仕事は残して時間を決めて切り上げるようになった。
それで効率が落ちるかと思えば、毎日ゆっくり休み気持ちを切り替えているせいか逆に仕事がはかどっている気がする。
私生活が充実すると仕事にも張りが出るなんていうけれど、まさに今の自分のことだと思う。