俺の新妻~御曹司の煽られる独占欲~
今朝、玄関でスキンシップだとハグを求めると、少し戸惑いながらも照れくさそうにこちらに近づいてきた鈴花の姿を思い出し勝手に笑みがもれた。
細い腰を抱き寄せると、頬にさらさらの髪が触れふわりと甘いかおりがした。
緊張で体を強張らせる慣れない様子がかわいすぎて、生まれて初めて仕事に行きたくないと思った。できればこのままずっと鈴花を抱きしめて一日過ごしたい。そう思った。
恋愛にいっさい興味のなかった俺が、そんな浮かれたことを考えるなんて自分でも信じられないけれど、頭の中は可愛い妻のことでいっぱいだった。
あらためて、今まで自分がどれだけ他人に無関心だったかを思い知る。
どうすれば彼女が笑ってくれるだろう。どうすればよろこんでくれるだろう。
今までそれなりに女性と付き合ってきたのに、そんなことを真剣に考えるのははじめてだ。
「副社長、失礼します」
そう言って入って来た穂積に、資料から視線を上げた。
「どうした?」
「MAパートナーズという投資ファンドから出資をしたいと話が来ているんですが」
穂積の言葉に手をとめて少し考える。