俺の新妻~御曹司の煽られる独占欲~
「うわぁぁぁぁっ!」
ホテルの部屋に入った途端、鈴花が顔を輝かせた。
足元にはクラシックなアラベスク柄のカーペットが敷き詰められ、頭上には光の粒をつなぎ合わせたような繊細なシャンデリア。
腰壁がついた真っ白な壁に、ヴィクトリアン調の華やかなインテリア。
白い革のソファや大理石のテーブル。
そしてその上に飾られた豪華な花。
ひとつひとつを見つめるたびに、小さな唇からうっとりとしたため息がもれる。
「すごい……。こんな豪華な部屋、はじめて入りました」
感激しすぎて疲れたのかどこかぼんやりとした口調でつぶやく鈴花に、笑いながら近づく。
「実家が高級老舗旅館なのに、ホテルのスイートルームくらいで驚くんだな」
「だって、純和風のうちの旅館とはまったく違うので……」
そう言いながら、はしゃいでしまったことが照れくさそうにこちらに背を向ける。
たしかに、はじめて俺のマンションに来たときも、フローリングやドアにいちいち感動していたっけ。
彼女の素朴さが可愛らしくて、思わず笑みがもれる。