俺の新妻~御曹司の煽られる独占欲~
そしてなにか考え込むようにうつむいてしまった。
「それに、いつまで私があのお部屋にいられるかもわからないし……」
ひとりごとのように漏らした言葉の意味がわからなくて、「なんだ?」と問うと鈴花は慌てて顔を上げた。
「なんでもないです!」
とりつくろうように笑顔を浮かべた彼女の髪に、白いものがついているのに気づいた。
さっき自宅を出る前に鈴花の全身についた羽毛を一生懸命とったのに、まだついていたのか。
苦笑しながら近づくと、鈴花が緊張したように身を硬くする。
「和樹、さん……?」
彼女の戸惑いにかまわず近づき髪に手を伸ばすと、細い肩がぴくりと揺れた。
サラサラの髪に触れ、そっと指ですく。そして指先で小さな羽毛をつまんで彼女に見せると、緊張気味だった顔がふわりと花開くようにほころんだ。
「あ、まだついていたんですね」
照れくさそうに言いながら、「ありがとうございます」とこちらを見上げて微笑む。
その可愛らしさに、胸になにかが突き刺さった気がした。
彼女の背後には存在感抜群の大きなベッド。
しかもホテルの部屋でふたりきりで、俺たちは夫婦で……。
このまま彼女を押倒しても、なんの問題もない気がしてくる。