俺の新妻~御曹司の煽られる独占欲~
それまで抱えていた彼に対する反感やわだかまりが、心の中で溶けてくずれていくような気がした。
「……でも、和樹は鈴花さんと一緒に暮らすようになってかわりました」
そう言われ、驚いて顔を上げた。
「少しずつ表情豊かになってきたし、なによりとても幸せそうに見える。鈴花さんのおかげです」
「そんなこと、ないです」
私は泣きだしたいような気持ちで、力なく首を横に振る。
私のおかげなんかじゃない。
私は彼に嫌われようとするばかりで、彼のためになにもしてあげられてない。
罪悪感がこみあげて、鼻の奥がつんと痛くなった。
「これからも、和樹をよろしくお願いします」
そう言って、穂積さんは帰っていった。