俺の新妻~御曹司の煽られる独占欲~

 


急遽香港に飛んだのは、地元の権力者に呼び出されたからだった。

空港へ降り立つと、迎えが来ていた。
ピカピカに磨き上げられた黒いリムジン。
車内が見えないよう遮光性の高いフィルムが貼られた窓はたぶん防弾ガラスだろう。

喧騒と熱気と生臭さが渦巻く街を眺めながら移動する。

半年前まで俺は地下鉄の新路線の工事を受注するためここを拠点に仕事をしていた。
けれど入札を前にプロジェクトを後任の担当者に託し日本に戻ったのは、やっかいなことに巻き込まれたから。

窓枠に肘をつきため息をつくと、前方に大きなビルが見えてきた。

古くから風水が浸透しその考えを取り入れて設計されたビルが多くある香港。
その中でも強力なエネルギーが流れているという最高のパワースポットにそびえ立つガラス張りのビルの前で車が停まる。

「どうぞ」と恭しくドアを開かれ車から降りる。

すると俺の到着を待ち構えていたのか、ひとりの女性が駆けよってきた。


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