俺の新妻~御曹司の煽られる独占欲~


「やめてくれ」
「あらどうして? 今までは私が抱きつこうがキスをしようが眉ひとつ動かさずに受け入れてくれたのに」

腕を組んでこちらにたずねる彼女の表情は、挑戦的で楽しげだ。

「俺は結婚したんだ」

短く言うと、美蘭は「そんなのとっくに聞いてるわ」と声を上げて笑う。

「今更そんなことを気にする必要ないじゃない。私だって結婚してるもの。もう十年も前から」

今年で二十六歳になる彼女は、十六歳で政略結婚をした。
政府高官の三十歳も年上の男と。



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