俺の新妻~御曹司の煽られる独占欲~
「俺の結婚は君とはちがう。妻を大切にして幸せにしたいと思ってる」
そう言うと、美蘭の表情がかわった。
信じられないものを見るように、俺のことを凝視する。
「カズキ。それ、本気で言っているの?」
「もちろん」
「信じられないわ。あなたの口から幸せという言葉が出るなんて」
赤い口紅が塗られた形のいい唇が、わずかにふるえているような気がした。
その様子を黙ったまま見ていると、彼女はふっと息を吐いて笑う。
「まぁいいわ。上で父がお待ちかねだから、ビジネスの話をしましょう」
そう言ってヒールの高いパンプスを鳴らしてビルの中へと入っていく美蘭の後ろ姿を見て、俺はため息をついた。