俺の新妻~御曹司の煽られる独占欲~
「お疲れですよね。ゆっくりお風呂に入りますか? ご飯の準備もできていますけど……」
リビングに向かいながら話しかけると、和樹さんの腕が後ろからのびてきた。
なんだろうと瞬きをしている間に、ぎゅっと抱きしめられる。
「か、和樹さんっ!?」
密着した体に動揺して飛び跳ねると、私の髪に顔をうずめた和樹さんがため息をつく。
「疲れたから、少し癒してくれ」
「こんなことが、癒しになるんですか……?」
不思議に思ってたずねると、和樹さんは無言でうなずき私を抱きしめる腕に力をこめた。
私は胸の前に回った和樹さんの腕に、そっとふれる。
よっぽど疲れているんだろうな……。
和樹さんからはかすかにエキゾチックな甘い香りがした。そのかぎなれない香りに、遠い場所から帰って来てくれたことを実感する。
こうやって私を抱きしめることで癒されるなんて。少しでも私の存在が彼の役に立っているんだろうか。
そう思うと嬉しくて、胸がつまる。
「あ、あの。穂積さんからケーキ受け取りました。あと、メモにかかれたお手紙も」
「あぁ」
黙ったまま抱きしめられているのが落ち着かなくてそう言と、和樹さんは私の髪に顔をうずめたままうなずく。