俺の新妻~御曹司の煽られる独占欲~
旬の食材をふんだんに使った彩豊かな夕食を食べ終え、豪華な設えの客室の縁側から日本庭園をぼんやりと眺めていると、温泉に入っていた鈴花が部屋に帰って来た。
客室にも専用の露天風呂がついているけれど、俺がいる部屋で入るのは恥ずかしいからとひとりで大浴場へ行ってきたのだ。
「和樹さん、もしよかったら少しお酒いかがですか?」
徳利が乗ったお盆を持ってこちらに来る。
その姿を見て思わず言葉に詰まった。
温泉に入って体が温まったせいか、白い肌がほんのりとピンク色に蒸気していた。
しかも身に着けているのは白地に藍色の花が描かれた浴衣で、その首筋や胸元に目が奪われる。
思わず見惚れそうになる自分をいましめながら、「ありがとう」とうなずいた。
「調理場によって、少しおつまみももらってきました」
そう言われお盆の上を見ると、小鉢に入れられた枝豆や揚げた銀杏、つくねなんかが乗っている。
「このつくねは蕎麦の実が入っていて、ぷちぷちしていておいしいんですよ」
なんて説明しながらお盆を縁側において俺の隣に腰を下ろす。
ふたりで並んで眺める夜の庭は、ところどころにある行燈が灯り静かで厳かな雰囲気だった。