俺の新妻~御曹司の煽られる独占欲~
「和樹さんのおかげで、旅館を守り両親に恩返しができます」
鈴花がそう言って俺に頭を下げる。
「両親の前で幸せにすると言ってくださって、ありがとうございました。おかげで両親は安心したと思います」
畳の上にそろえた指をつく彼女の姿は、本当に綺麗で思わずみとれそうになる。
「……私も、嘘でもそう言ってもらえて嬉しかったです」
わずかに顔を上げ、うるんだ目で俺を見た。
その途端、どうしようもない愛おしさがこみあげてきて勝手に思いがこぼれた。
「嘘じゃない」
短くそう言うと、彼女が驚いたように俺を見る。
「本当に、鈴花を幸せにしたいと思ったからそう言った」
俺の言葉を聞いて、鈴花の目が見開いた。
その表情を見ているうちに、勝手に腕がのびていた。
細い肩を引き寄せ、胸の中に抱きしめる。
「和樹さん?」