俺の新妻~御曹司の煽られる独占欲~
戸惑う彼女にかまわず細い髪に指をさしこみ小さな頭を胸の中に抱きこむと、鈴花はくぐもった声でつぶやいた。
「あ、あの、これも夫婦らしくなるためのスキンシップですか……?」
そんな問いかけに、小さく笑って首を横に振る。
「違う」
「じゃあ……」
「ただ、抱きしめたいからそうしてる」
夫婦らしく見られるためのスキンシップなんてくだらない言い訳はもうやめた。
俺が正直にそう言うと、鈴花の体が熱くなる。
「イヤか?」
耳元で問うと、少し悩むそぶりをみせたけれどおずおずと首を横に振ってくれた。
「イヤじゃないです……」
俺の服をぎゅっと掴みながらそうつぶやいたいじらしさに、たまらない気持ちになる。
「本当に?」
このままでは彼女の気持ちを無視して暴走してしまいそうだ。彼女を傷つけるのが怖くて、確認するようにもう一度問いかける。
今なら、イヤだと言われれば止められる。
けれど彼女口から、予想もしない言葉がもれた。
「……和樹さんのことが好きだから、イヤじゃないです」