俺の新妻~御曹司の煽られる独占欲~


おっとりした丸顔の父と、凛とした和風美人の母。そして母に似にて明るく快活な弟。
そんな家族の中で私はひとり浮いていた。

色白の肌に、色素の薄い瞳。
地毛のままでも栗色の髪は、学生時代は学校の先生に染めているんだろうと何度も注意された。

まったく両親と似ていないのは、私が本当の家族じゃないから。

実の両親は、私が五歳のときに事故に遭い夫婦そろって命を落とした。
当時五歳だった私もその場に居合わせていたけど、辛くも難を逃れ生き残ったらしい。

私は当時のことをぼんやりとしか覚えていないけど、突然家族を失いひとりきりになってしまった幼い私を、実の両親の親友だった父が引き取り育ててくれたそうだ。

血のつながっていない私のことを、実の息子の弟と区別することなく(むしろ若干過剰なくらい)大切にして愛してくれた父と母には本当に感謝してる。


けれど、祖母の一周忌のときに、親族が顔を寄せ合い話しているのを聞いてしまったのだ。


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