俺の新妻~御曹司の煽られる独占欲~
「ここでそういうことをするのは、ものすごく恥ずかしいです」
消え入りそうな声でそういってうつむく。
髪からのぞく耳やうなじが真っ赤になっていた。
たしかに、この旅館は鈴花の実家で朝になれば顔見知りの従業員が部屋の片づけをするんだろう。
そんな状況でこのまま抱かれるのは、恋愛経験ゼロの彼女にとってはハードルが高いのかもしれない。
このまま鈴花を自分のものにしてしまいたい。
めちゃくちゃ可愛がって甘やかして抱きたい。
だけど……。
「あー……」
彼女の気持ちを察して、うなるようにつぶやく。
「和樹さん……?」
そんな小動物のような純粋な目で見つめられたら、無理やり手を出せるはずがない。
俺は心の中で白旗を上げる。
「わかった。今日はこれ以上なにもしないって約束する」
そう言うと、鈴花はほっとしたように無邪気な笑顔をうかべる。
たったいま約束したことをすぐに撤回したくなるような可愛さに、俺は額を押さえて天井を仰いだ。