俺の新妻~御曹司の煽られる独占欲~
『いつまでたっても鈴花ちゃんは実家からでようとしないけど、まさか血のつながってないあの子に旅館を継がせる気なのか』
『跡取りの隼人くんがいるのに鈴花ちゃんがいつまでも居座っていたら、隼人くんの跡取りという自覚が芽生えない』と。
分家の親族たちが私の存在を疎ましく思うのは、伝統を重んじる日野家を守っていくための当然の憂慮だ。
私はここにいちゃいけないんだ。
ここは私の居場所じゃないんだから。
お見合いの話をうければ、私はこの家を出ていける。
その上大宮建設から資金援助もうけられる。
それが私のできる唯一の恩返しなんだ。
そうはわかってるけど、でも同時に後悔もわいてくる。
大宮建設の御曹司と結婚してしまったら、ずっと憧れていた恋もできない。
顔も知らない人とお見合いをして、気に入られれば結婚をして、一生その人と暮らすことになるかもしれないんだ。
私は自分の部屋でひとり、顔を覆ってためいきをついた。