俺の新妻~御曹司の煽られる独占欲~
「そうじゃない。ようやく鈴花を抱けると思ったのに急に仕事が入るなんて。好物を前に待てと言われた犬の気分だ」
直接的な言い方に、恥ずかしくて頬に熱が集まる。
しかも犬の気分って。
ちらりと視線を上げて和樹さんをうかがえば、たしかに今にも私を組み敷きたいという気持ちが溢れるような熱を帯びた視線が向けられていて、あわててうつむいた。
「お、お仕事だから仕方がないですよ……」
視線を落としたままそう言うと、頭上で和樹さんがくすりと笑う。
「まぁ、そうだな。好物はあとに残しておく方が楽しみが増えると思って我慢する」
色っぽい口調でそう言われ、頭に血が上った。
冷淡で傲慢、なんて第一印象が嘘みたいに情熱的な彼に驚く。
自宅にふたりきりになったら、本当にまるごとぺろりと食べられてしまいそうだ。
和樹さんは腕をのばし、茹でたこみたいに真っ赤になった私を抱き寄せて耳元でささやく。