俺の新妻~御曹司の煽られる独占欲~
私が唇を噛むと、隼人は苛立ちを隠さずに舌打ちをした。
「それを本当かどうか問いただそうと思って来たのに、なんで和樹さんはいないんだよ」
「あ、香港から急にお客様が来たからって、空港に向かって」
「は?」
私の言葉を聞いた隼人の表情はさらにけわしくなる。
「それって、この女じゃないの?」
「でも仕事だって。空港で秘書の穂積さんと落ち合うって言ってたよ」
「本当に穂積さんが来てるかどうかなんてわかんないじゃん。そんなの嘘で、ふたりきりで会ってるかもしれない」
「でも、でも……」
たった数時間前、旅館のお布団の中で抱き合ってキスをしていた。
見つめあって微笑んで、幸せでいっぱいだった。
確かに愛されてると思った。
もしかしてあれも、和樹さんにとっては幸せな夫婦に見せるためのスキンシップのひとつでしかなかった……?
そんな考えに、胸がずきりと痛み涙がこみあげてくる。