俺の新妻~御曹司の煽られる独占欲~
潤んだ視界に、ダイニングのテーブルが映った。
そこで交わしたいろんな会話を思い出す。
私が料理を作る音を聞いていると癒されると言ってくれたこと。
嫌いなナスをおいしいと食べてくれたこと。
リビングを見れば、ソファに座って抱きしめられたことや、お弁当のお礼にぶっきらぼうなメモをくれたこと。
あの幸せな記憶のひとつひとつが偽りだったなんて信じられない。信じたくない。
そう思ってかぶりを振ったとき、隼人の背後にある扉が突然開いた。
そこには、たった今見ていた画像に写っていた長身の女性がいた。
「お前、なんで……っ?」
予想外の訪問者に隼人は持っていたスマホの画面と彼女を交互に見て言葉をなくす。
その動揺を見て、真っ赤な唇が塗られた形のいい唇がにっこりと笑った。
「こんにちは。あなたがカズキの妻ね?」
少しクセのある日本語でそう言って、戸惑う私たちを見てくすりと肩を揺らす。