俺の新妻~御曹司の煽られる独占欲~
裏
「副社長、失礼します」
執務室で仕事をしていると、秘書の穂積が入って来た。
「どうした?」
俺が顔をあげて問うと、彼は一瞬視線をそらす。
幼い頃から幼馴染みのように育ってきた穂積がそのくせをだすのは、俺になにか後ろめたさがあるときだとすぐに気づく。
俺の秘書をつとめている岸田穂積は、ひとつ年上の三十一歳。
岸田家は祖父の代から大宮建設に経営陣の右腕として会社を支えてくれている、親族のような関係だ。
俺と穂積も今は副社長と秘書だけど、幼馴染みのように育ってきた。
きっとなにか面倒な案件を持ってきたんだな、と察した俺が顔を曇らせると、彼は言いづらそうに口を開いた。
「幸恵様からご連絡がありました。話があるから実家に顔を出すようにと」
穂積の口から出た言葉は、想像していたよりもずっとやっかいな伝言で、俺は大きくため息を吐き出した。