俺の新妻~御曹司の煽られる独占欲~

だから、和樹さんはあんなに急いで私と結婚する必要があったんだ。
李グループから会社を守るために。

和樹さんは美蘭と浮気をしていたわけじゃないんだ。そのことを知ってほっとする。

「わが親ながら、あの欲深さにはあきれるわ。父が死んだら、絶対に地獄行きね」

そう言った美蘭の横顔は、とてもさみしげででも美しく見えた。

「あ、あの。美蘭は、抹茶はお好きですか?」
「は、抹茶?」

私の唐突な質問に、美蘭は眉をよせる。

「もしお好きなら、このあと茶室にご案内しますよ。庭園の木立を抜けた先にあるんです。小川のせせらぎと鳥の声しか聞こえない、とても静かで落ち着く場所なんですよ。美味しくて可愛らしい和菓子も用意しますから」
「あなた、私を元気づけてくれようとしているの?」

必死に言葉を続ける私を見て、美蘭は細い肩をくすくすとゆらした。


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