俺の新妻~御曹司の煽られる独占欲~
「あきれるくらいお人好しね。私の話を聞いていた? 私の父は大宮建設をのっとろうとしている敵よ」
美蘭はそう言って、大きな黒い瞳で私のことをじっと見つめる。
「私は父にカズキを説得するように言われてやってきた。こちらの要求をのまなければ脅してでも首を縦に振らせろってね」
「要求って……、美蘭との結婚ですか?」
おそるおそる尋ねると、美蘭は私から顔をそらしてうなずいた。
「あなたみたいな日本のお嬢様にとっては、愛のない結婚をする私が信じられないでしょうね」
「そんなことないです。私も、和樹さんと愛のない結婚をしましたから」
「は?」
私の言葉に美蘭は目を見開いた固まった。
まじまじと私の顔を見てから、信じられないと眉をよせる。
「和樹さんは美蘭との結婚を波風立てずに断る口実がほしくて私を妻にしたんです。相手は誰でもよかった。私もこの旅館の経営がうまくいかなくなっていて、大宮建設からの資金援助が目的で結婚しました」
「あなたみたいな子が、好きでもない男と結婚なんて……」