俺の新妻~御曹司の煽られる独占欲~


「それよりまずビジネスの話をしましょう。香港のゴシップサイトを見たでしょう? あれは父の差し金よ。次はあんな三流ゴシップではなく、きちんとしたかたちであなたを訴えると言っているわ。副社長が政府の高官の妻と不倫をしているとなれば、大宮建設の信用は地に落ちて、地下鉄工事の受注も百パーセントなくなるでしょうね」
「だから、君と結婚しろと?」
「父からカズキを脅してでも首を縦に振らせろと言われて日本にきたわ」
「それで鈴花を連れ去ったのか」

鈴花を脅しに使うなんて許せない。
美蘭を見据える視線に憎悪に近いほどの怒りをにじませると、彼女は肩を上げて笑った。

「落ち着いてよ。あの子に危害をくわえるようなことはしていないから。ただ、スズカと話していて少し気が変わったの。あなたが私の要求をのむなら、結婚の話をあきらめるよう父を説得してあげる」
「なにが望みだ」

低い声で問うと、美蘭は口元の笑みを消した。

「スズカと離婚して」

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