俺の新妻~御曹司の煽られる独占欲~

「どうして」
「少し前まで女を信用せず愛なんて必要としていなかったじゃない。仕事以外に興味がなくて傲慢で冷徹で。あなたと私は似た者同士だと思ってた。それなのに、そんなあなたが手のひらをかえしたように愛する女と結婚して幸せになるなんて、反吐が出るほど腹が立つわ」

十六歳で政略結婚を強いられ、今また父親の都合でコマにされようとしている美蘭から見れば、今の俺に苛立つのも仕方ないのかもしれない。

「スズカと離婚すれば全てうまく収めてあげる。簡単な条件でしょう?」

美蘭は自信満々に微笑み小首をかしげる。
俺はうつむいてひとつため息をついてから、顔を上げた。

「離婚はしない」

はっきりとそう言うと、美蘭の表情が変わった。
黒い大きな瞳が信じられないものを見るように見開かれる。

「どうして? 条件をのまなければ私とカズキの写真が出回って、アジアでの大宮建設の評判は地に落ちるのよ。どれだけの損失が出るかわかっているの?」
「わかっているよ」


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