俺の新妻~御曹司の煽られる独占欲~
エピローグ
自宅のマンションに帰り玄関に入ると、和樹さんが私の足元に目を留めた。
私が履いていたのは、日野屋でお客様が庭を散策するために置いてある、黒い桐の外履き用のサンダルだ。
不思議そうな和樹さんの表情にはっとする。
「あ、これは、靴を履く暇もなく美蘭に連れ出されてしまったので……」
私が慌てて説明すると、和樹さんは納得したように息を漏らした。
「悪い。突然押し掛けてきて連れ去れて、怖かっただろ」
両手で私の頬をそっと包みながら、顔をのぞきこむ。その表情は真剣で、本当に私を心配してくれていたのが伝わって来た。