俺の新妻~御曹司の煽られる独占欲~
「和樹さん、あなたちゃんと目がふたつついているの? こんなに可愛らしいお嬢さんと結婚できるっていうのに、少しも心を動かされないなんてどうかしてます」
「残念ですが見栄えがいいだけの女性なら、見飽きてますから」
大宮建設という大企業の後継者として生まれたせいもあって、女性に不自由したことはなかった。
向こうから声をかけてくるのはたいてい自分の容姿に自信を持っているタイプで、モデルや女優を紹介されることも少なくない。
けれど美しい笑みを浮かべる彼女たちの皮を一枚めくれば、大宮建設の御曹司という地位と金に目がくらんだ欲望の塊だということにも気づいていた。
きっとこの清純そうな可愛らしい少女も、今頃大宮家との見合いを成功させ縁談を結ぶために野心を燃やしているにちがいない。
そう考えるだけでうんざりして大きなため息をつく。
そんな気乗りしない態度の俺を、祖母は「和樹さんはほんとうに可愛げがなさすぎです!」と憤慨しながら睨む。