俺の新妻~御曹司の煽られる独占欲~
突然のお見合い

 


都心の喧騒を忘れられる情緒ある温泉街。
その奥まった静かな場所に創業百五十年を超える歴史ある老舗旅館【日野屋】がある。

代々旅館を経営してきた日野家の長女として、超がつくほど頑丈な箱に入れられて大切に大切に育てられてきたのが、私日野鈴花だ。

小学校は地元の学校だったけれど、中学高校と由緒正しいお嬢様たちが集う名門私立に通わされ、アルバイトは一切禁止。

進学した女子大は家から遠く通学が大変だから、大学の近くに部屋を借りてひとり暮らしをしたいと軽い気持ちで父にお願いしてみたら、許可すればこの世の終わりでもくるのかというほどの勢いで、即却下された。

授業が終わればすぐ家に戻り、過保護な両親と今は亡き厳格な祖母の元でお茶やお花などの習い事にいそしんだ。

そのせいで異性と出会う機会はゼロで恋や青春を謳歌することもなく、ただひたすら地味ーに清く正しい学生時代を過ごしてきた私。

そんな生活に正直不満もあったけど、生活の全てを両親に頼っているお気楽な学生なんだから、まぁ仕方ないと我慢もできた。
だって、大学を卒業すれば、自由になれるって信じてたから。

都会で就職して、自分の生活費は自分でかせいで、ひとり暮らしをして、好きな人を見つけて恋をして、誰にも干渉されない自由でバラ色の人生が待っているって、信じていたから。


なのに……。




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