俺の新妻~御曹司の煽られる独占欲~
最悪の第一印象

 



大宮建設の御曹司との顔合わせは、都内の高級ホテルで行われることになった。

顔合わせの場についていくという両親の申し出を、旅館を営む我が家がそろって出かけるわけにはいかないからと断り、ひとりでやってきた私。

高いビルが立ち並ぶ街並みと慣れない人ごみに圧倒され、目的のホテルにたどり着いたときにはもうぐったりと疲れ切っていた。

ロビーのすみにあるソファに座り、腰に巻かれた帯をさすりながらため息をつく。

今回は一応お見合いという形らしいけど、実質こちらに拒否権はない。ただ相手に値踏みされるために来たようなものだ。

緊張のせいかそれとも心細さのせいか、胃のあたりがなんだか苦しい。

だめだ。しっかりしなきゃ。
これから結婚相手との顔合わせなんだから。

ひとりでやって来た私同様、相手方もご家族は同席せずふたりだけで会うことにしてもらえたから少しは気が楽だけど。



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