俺の新妻~御曹司の煽られる独占欲~
お相手は私より七歳年上の、大宮和樹さん。
昨年までは海外事業拡大のために中国を中心とした東アジアで手腕を奮い、海外での成果を認められ半年前に帰国し大宮建設の副社長に就任したばかりらしい。
教えられた情報を思い出しながら、いったいどんな人なんだろうと想像する。
三十歳という若さで海外で大きな成果を残すなんて、仕事ができる有能な人だというのは間違いないんだろうけど……。
お見合いなら事前に釣書や写真をもらうのが普通らしいけど、相手は祖母の昔からの友人だということでその辺は省略された。
元々こちらに拒否権はないんだから、わざわざ用意する必要はないと判断されたのかもしれない。
両親に過保護に育てられてきたせいで、二十三年間一度も恋をたことがない私。
顔も知らない相手とお見合い結婚をするんだと思うと、どんどん気持ちが沈んでいく。
相手がどんな方かわからないけど、せめて優しい人だといいな。
なんて願いながらもう一度ため息をついたとき、頭上から「大丈夫か」と艶のある声が聞こえた。