俺の新妻~御曹司の煽られる独占欲~
私が今日着ているのは、淡い桃色の地に大輪の白い牡丹や松の文様が入った美しい振袖だ。
今日みたいな華やかな振袖はお祝いの席くらいでしか袖を通さないけれど、旅館に立つときは女将見習いとしてシンプルな付け下げを着て仕事をしている。
日常的に和服を着ているから、帯を締めすぎて具合が悪くなるようなことはない。
「着物は普段から着ていますので、慣れていますから」
ソファから立ち上がりそう言うと、彼の視線が私に戻る。
向かい合った私を見て、彼の唇がわずかに開き感心したようなため息がもれた。
そのため息を不思議に思い小首をかしげながら正面に立つ彼を見上げると、その背の高さに驚いた。
私は小柄なほうだけど、それでも彼はかなり身長が高い。きっと、百八十センチちかくありそうだ。
男らしい精悍な顔立ちに、モデルのような長身。
さすが東京。都会にはこんなにかっこいい人がいるんだなぁ、なんて感心してしまう。
それにしても、さっきから彼から値踏みするような視線をむけられているような気がして、なんだか落ち着かない。
私のこの格好が、どこか変だろうか。
それとも……。