俺の新妻~御曹司の煽られる独占欲~
「もしかして、どこかでお会いしたことがありましたか?」
彼の視線を不思議に思ってたずねると、涼しげで端正な顔に驚きの表情が浮かんだ。
「お前、俺のことも知らないでここに来たのか?」
「え?」
この人は、有名人なんだろうか。
確かに整った外見をしているし、オーラもある。俳優さんか、モデルさんなのかもしれない。
「す、すみません。私テレビとかあまり見ないので、芸能人にうとくて」
慌てて言い訳すると、私を見下ろす彼があきれたようにため息を吐き出した。
「謝らなくていい。どうせ資産や肩書きが目的で、相手は誰だろうが関係ないんだろう」
侮蔑のこめられた冷ややかな言葉に、驚いて目を瞬かせた。
この人は、一体何のことを言っているんだろう。
「あの……?」
「好きでもない見合い相手に気に入られるために、わざわざ綺麗に着飾って遠くまでやってきて。金のためとはいえ大変だな」
そう言って、綺麗な口端をわずかに上げて笑う。
その傲慢な言葉にかちんときて、顔を上げ彼をにらんだ。