俺の新妻~御曹司の煽られる独占欲~


「どうしてお見合いのことを知っているのかは存じませんが、あなたに貶される筋合いはありません」

私がどんな思いでここにやってきたかも知らないで、勝手なことを言わないでほしい。
両親に恩返しをするために、歴史ある旅館を守るために、恋も自由な生活もすべて諦める覚悟をしてここにきたのに。

「筋合いはあるだろう。俺がその見合い相手なんだから」

そう言われ、目を見開いた。

この人が、私のお見合いの相手の、大宮和樹さん……?
モデルのような整った外見の魅力を一気に相殺してむしろマイナスになるくらい、傲慢で偉そうな態度のこの人が!?

驚きで言葉が出ずに口をぱくぱくさせている私を、彼は冷然とした視線で見下ろす。

「あ、あの。私お見合いの写真を見ていなかったので……」
「今更とりつくろわなくていい。お前が興味あるのは俺の地位と財産だけで、自分の結婚相手がどんな顔か知る必要もないんだろう」
「ちが……っ!」

私がお相手の顔を知らなかったのは、そっちが釣書も写真も渡してくれなかったからだ。それなのに、どうしてこんな失礼なことを言われなきゃいけないの!?


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