俺の新妻~御曹司の煽られる独占欲~

 

会社の執務室で資料に目を通しながら、俺は自然と自分の結婚相手のことを思い出す。

先週末。
俺が見合いまでの時間を持て余してホテルの中を歩いていると、ロビーの隅におかれたソファに着物姿の彼女を見つけた。

モダンなソファに軽く腰を掛け、背筋を伸ばして庭を眺めるその姿があまりにも絵になっていて思わずみとれた。

一度見た成人式のときに撮ったという写真よりも、いくぶん大人びた横顔。

両親は家業の旅館があるため、今日は彼女ひとりで見合いに来ると聞いていたけれど、さすがに心細いのだろうか。

長い睫毛がふせられ、小さな唇から吐息がもれる。
その初々しい緊張感が、彼女の可憐さをより引き立たせているような気がした。



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