俺の新妻~御曹司の煽られる独占欲~


見合い相手の俺の顔も知らず、恋人の男があらわれると慌てるどころか嬉しそうに顔をほころばせた。

純真そうで可憐な外見とは反対に、恋人がいるのに金のために俺と結婚しようとしている欲の深い女。
その姿を見ただけで、思わずほだされそうになった自分が情けない。

思い出すだけでむかむかしてきて、その苛立ちを振り払うように首を左右に振る。


創業五十周年記念のパーティーは来週。
俺に必要なのは、美しく見栄えのいい妻という飾りだ。
愛なんて必要ないのだから、あの女がどんな本性をもっていようが関係ない。


そう自分に言い聞かせ、ため息をついた。



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