俺の新妻～御曹司の煽られる独占欲～

愛のない相手と結婚発表パーティー

表

　



ホテルの控室の大きな鏡の前で、私は緊張で身を硬くしながら着物の着付けをしてもらっていた。

普段から和服を着慣れているけれど、今日用意されたのは私が持っているものとは比べ物にならないほどの高価な振袖だ。

深みのある紅色の地に幾重にも開いた花びらが美しい牡丹や縁起のいい松竹梅、雅な扇や御所車が配された絢爛豪華な手描き友禅。
金糸をふんだんに使った吉祥柄の帯と合わせれば、高級車が余裕で買えてしまうほどの値打ちがあるだろう。

急な結婚発表の場にこんな高級な着物を用意してくれるなんて、あらためて大宮家の財力を思い知った。

ホテルのスタッフに着付けしてもらい、背中まである髪を結いあげる。
いつもは自然に下ろしている前髪を斜めに流し、耳の後ろに真っ白な大輪のダリアを一輪差し込まれ鏡を見る。

「すてき……」

そこにいる華やかに着飾った自分の姿に息をのんだ。