俺の新妻~御曹司の煽られる独占欲~
髪は緩くセットされていて、整った凛々しい顔がより際立って色っぽい。
無造作に片方の手をパンツのポケットに入れもう片方の手でドアノブを握った態勢のまま、まっすぐにこちらを見つめる和樹さんに落ち着かない気分になる。
思わずうつむこうとすると「もう少しですから、動かないでくださいね」と言われ、慌てて背筋をのばした。
その間も和樹さんは無言のままじっと私のことを見ていた。
ゆっくりと動く筆が私の唇の輪郭を縁取る。
その様子を彼に見られているかと思うと勝手に頬が熱くなっていく。
「鈴花さん、とても綺麗ですよね」
秘書の穂積さんが和樹さんに声をかけると、彼はようやく我に返ったようにドアノブを握る手を放した。
「なんでお前が俺より先に控室にいるんだ」
まるで穂積さんが自分より先に私に会ったことが不満だというように、和樹さんが不機嫌な声で言う。