俺の新妻~御曹司の煽られる独占欲~
私は今日、たくさんのパーティーの参加者の前でこの人との結婚を発表する。
結婚式や披露宴はとりあえず後回しにし、入籍だけすませ都内のマンションで一緒に暮らす予定だ。
私は、この人の妻になるんだ。
そう思うだけで、緊張と不安でごくりと喉が鳴った。
愛のないお互いの利益のためだけの政略結婚。
こんな一方的で強引な結婚に少しも納得していないけれど、これから一緒に暮らすんだからまずきちんと誤解をといておかないと。
最悪の顔合わせのあと冷静になって彼とのやりとりを思い返して、和樹さんが突然あらわれた隼人を私の恋人だと勘違いしているんじゃないかと気が付いた。
恋人ではなく弟だと説明すれば、和樹さんの誤解もとけるはず。
「和樹さん。あの、顔合わせのときにいた隼人のことですが」
私がそう言うと、和樹さんの表情が変わった。
さっきまで私を見つめていた視線から温度が消え、冷ややかな視線でこちらを見下ろす。
「隠れて付き合うなら恋人がいてもかまわないと伝えたはずだ。今更言い訳をする必要はない」
「言い訳ではなくて……」
「俺が必要なのは結婚したという既成事実だけだ。お前がどんな女だろうと興味がない」
ばっさりと切り捨てられ、目を見開いた。