俺の新妻~御曹司の煽られる独占欲~
広く豪華なバンケットルームでたくさんの人たちに次々に挨拶をされ、私は目が回りそうだった。
そんな私の横で顔色ひとつ変えることなく、堂々と対応する和樹さんをちらりと見上げる。
「和樹くんにこんな美しい恋人がいるなんて知らなかったよ。突然結婚発表なんて、なにか理由でも?」
そう問いかけるのは、少し太めの中年男性。彼は私の全身をなめるように見つめ、なにか言いたげに含み笑いを浮かべる。
その遠慮のない視線に思わず一歩後ずさると、隣にいる和樹さんが私のことを抱き寄せた。
驚いて顔をあげると、彼が私のことを見下ろしてわずかに微笑む。
「理由なんてありません。魅力的な彼女がほかの男に取られないように、はやく自分のものにしたかっただけですよ」
魅力的なんて! 自分のものにしたかったなんて! 普段の彼からは予想もできないような甘い言葉に一気に頬が熱くなる。
真っ赤になって目を見開いた私に、和樹さんは耳元に口をよせ小さな声で囁いた。
「ほら。さっさと愛されている花嫁らしく、幸せそうに笑え」
私だけに聞こえるようにそう言われ、一気に頭が冷える。
一瞬でもドキドキした自分がくやしい。