俺の新妻~御曹司の煽られる独占欲~

気を取り直し和樹さんのことを見上げると、私はこくんと息をのんでから口を開いた。

「……そんな心配をなさらなくても、私は和樹さん以外の男の方によそ見なんてしませんから」

恋愛経験ゼロの私は幸せそうな作り笑いを浮かべられるほど器用じゃなくて、顔を真っ赤にしながら必死にそう言う。

すると和樹さんが一瞬虚を突かれたように言葉につまった。

口もとを手で隠しこちらに背を向けてしまった和樹さんに首をかしげていると、それを見ていた中年男性が声を上げて笑った。

「これは見ているこっちが照れてしまうくらいラブラブですな! いやぁうらやましい」

満足して去っていく彼の後ろ姿を眺めながら、和樹さんは私の耳元でため息をつく。

「恋人がいるくせに、よくも白々しくあんなことを言えるな。本性を知らなかったら騙されてしまいそうだ」
「し、白々しいって!」

和樹さんが幸せそうな妻のフリをしろっていうから頑張ってるのに!
それに、和樹さんが勝手に勘違いしているだけで、恋人なんていないし!


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