俺の新妻~御曹司の煽られる独占欲~
ふたりでにらみあっていると、萌黄色の色留袖を着た上品な女性が近づいてきた。
「鈴花ちゃん、本当にかわいいわぁ……!」
感激したようにそう言って私のことをぎゅーっと抱きしめる年配の女性に、「幸恵さん、挨拶もせずに抱き着くなんて非常識ですよ」と和樹さんがあきれた顔をする。
「あら、ごめんなさい。はじめまして鈴花ちゃん。和樹の祖母の幸恵です。おばあちゃんって呼ばれるのは嫌いだから、幸恵と呼んでくださいね」
この人が私の祖母の親友だったという大宮家の大奥様なんだ。
パーティーで社長をつとめるお父様や会長のおじい様には挨拶をさせてもらったけれど、和樹さんのおばあ様や奥様には挨拶できていなかった。
三十歳になる孫がいるとは思えないほど若々しく上品なたたずまいに見惚れそうになる。
「はじめまして。鈴花と申します」
私が頭を下げると、またぎゅーっと抱きしめられる。
「あぁ、こんなに可愛らしい女の子と和樹さんが結婚するなんて、本当にうれしいわ! 鈴花ちゃんは和樹さんの妻で親友の菊ちゃんの孫なんですから、本当の家族だと思ってたくさん私に甘えてくださいね」
「甘えるなんて、そんな……」
傲慢な和樹さんと血がつながっているとは思えないほどフレンドリーな幸恵さんに、少し面食らってしまう。