俺の新妻~御曹司の煽られる独占欲~

「和樹さんは不愛想で不器用ですけど、根は悪い子ではないんですよ」

和樹さんへの不満が顔に出ていたことに気付いて、慌てて「いえ」と首を横に振った。

「小学生のときに母を亡くして、少しひねくれてしまってね」

そう言いながらどこか寂しげな表情で和樹さんを眺める幸恵さん。

和樹さんは幼いころにお母様を亡くされているんだ……。
五歳で両親に先立たれた私は、当時の悲しさや心細さを思い出して胸が痛くなる。

「鈴花ちゃん。どうか和樹さんのことを、よろしくお願いしますね」

ぎゅっと手を握ってそう言われ、なんと返事をしていいのかわからず曖昧にうなずいた。

「じゃあ今度、一緒にお食事でもしましょうね」

軽やかに微笑んで歩いていく幸恵さんを、ぼんやりと眺める。


和樹さんは、小さなころにお母様を亡くしたせいであんなひねくれた性格になってしまったのかな。なんて、少し離れた場所にいる和樹さんを見ながら思う。


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