俺の新妻~御曹司の煽られる独占欲~


「なるほど。可愛い妻が自分をほったらかしてほかの男と電話してるのを見て、嫉妬したんだ?」
「腹が立っただけで嫉妬したわけじゃない。なんで俺が飾りだけの妻に嫉妬をしなきゃならないんだ」
「飾りだけの妻なんて言って、控室で鈴花さんを見たとき思いっきり見惚れてたくせに」
「あれは……」

その指摘に口ごもる。
パーティーの前に控室で着飾った彼女を見たとき、確かに一瞬だけ目を奪われたかもしれないけれど。

「別に彼女に見惚れていたわけじゃなく、見事な着物だと思っただけだ」

俺が不機嫌な口調で言うと、「強情だな」と穂積が笑う。

「和樹はほんと、女を見る目がないよな」
「どういう意味だ」
「鈴花さんは、お前が言うような最悪な女性には思えないけど」
「お前になにがわかる」
「だいたいその恋人っていうのも……」

穂積がそう言いかけたとき、洋服に着替えた鈴花がやってきた。

急いできたのか、わずかに息が上がっているようだ。
俺たちを見つけると、「おまたせしました」早足でこちらに近づく。



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