俺の新妻~御曹司の煽られる独占欲~
そのとき、毛足の長いカーペットに足を取られたのか、鈴花が目の前でバランスをくずした。
「きゃ」と小さな悲鳴をあげ転びそうになった彼女に、反射的に手が伸びる。
腕を掴み抱き寄せると、鈴花の体が強張った。
「大丈夫か?」
腕の中の彼女を見下ろしてそう問うと、なぜか目を見開き頬を紅潮させてこちらを見ていた。
どうしてそんなに動揺しているんだろう。転びそうになったときに、足でもひねったんだろうか。
「どこか痛めたか?」
それなら足に体重をかけないほうがいいだろう、と思い腰に手を回し抱き寄せる。その瞬間、触れた腰の細さに驚いた。
支えるために触れた手のひらで彼女の背筋をそっとなぞると、華奢な体がぴくんと跳ねた。
「あ、あの……っ!」
今にもこぼれてしまいそうなほど目を潤ませた鈴花が、真っ赤な顔で俺を見上げる。
「大丈夫ですから、放してください……っ」
消え入りそうな声でそう言って、両手で顔を隠してうつむく。