俺の新妻~御曹司の煽られる独占欲~
落ち着け落ち着け、と心の中で自分に言い聞かせながら深呼吸をしていると、部屋の入り口にいた和樹さんが近づいてきた。
彼のことを目で追っていると、和樹さんは私がいるベッドの端に腰を下ろしこちらを見る。
彼の重みを受けたせいでぎしりとスプリングが音を立て、私の体がわずかに彼の方へ傾いた。
近づいた距離に思わずドキっとして、ベッドの上に並んだクッションをひとつ引き寄せ胸に抱く。
そんな私の動揺を感じ取ったのか、和樹さんが小さく笑った。
「鈴花」
まっすぐに私の瞳を見つめながら名前を呼ばれ、心臓が飛び出そうになる。
「す、鈴花って……!」
ベッドの上で跳びあがった私を見て、和樹さんは不思議そうに首を傾げた。
「結婚したんだから、自分の妻を名前で呼ぶのは当然だろ」
「そ、そうですけど……っ」
今まではお前としか呼ばれていなかったのに。
心の準備ができていないのにいきなり呼び捨てにされると、ドキドキしすぎて心臓が痛い。
それに、考えてみたらひとつのベッドに腰をかけて見つめあってるって、かなり親密な状況なんじゃない……!?
なんて思っていると、和樹さんは冷静な顔のまま私に一枚のカードを差し出した。