俺の新妻~御曹司の煽られる独占欲~
「なんで怒るんだ」
顔面に向かって容赦なく投げつけたつもりなのに、軽々とクッションを受け取めた和樹さんを、苦々しい想いでにらみつける。
「別に怒っていません。もう疲れたので、ひとりにさせてください」
私は顔にひきつった笑みを浮かべ、とげとげしい声でそう言った。
「意味が分からない」
和樹さんが理解できないという表情でこちらを見下ろす。
「ひとりになりたいなら、好きにしろ」
面倒くさそうにため息をついたあと、彼がそう言い捨てて部屋から出ていった。
ぱたりと扉が閉まり、部屋の中でひとりきりになる。
それでもまだ気持ちが収まらなくて、ベッドの上のクッションを閉まった扉めがけて投げつけた。
ふわふわのクッションはぽすんと気の抜けた音をたて、床の上に落ちる。それを見ながら私はひとり唇を噛む。