俺の新妻~御曹司の煽られる独占欲~
穂積さんの言葉を聞きながら、ふと湧いてきた疑問を口にする。
「和樹さんって昔からあんなに偉そうなんですか?」
私の遠慮のない質問に、穂積さんは楽しげにくすりと笑った。
「いえ。小さなころは純粋でまっすぐだったのに、いつの間にかひねくれて人間不信になって……」
「人間不信って、なにか原因があるんですか?」
「知りたいですか?」
そう言って、穂積さんが私のことをじっと見た。
知りたい。
そう思ったけれど、彼に興味を持っていると思われるのがなんだか癪で「興味ありません」とすました顔で首を横に振る。
「聞きたくなったらいつでも言ってくださいね」
柔らかく微笑みかけられて、思わずため息がもれた。
「穂積さんは優しいんですね。こうやって和樹さんの妻の私のことまでフォローしてくれるなんて」
「そうですか? 和樹には秘書のくせに遠慮も容赦もなさすぎるっていつも文句を言われますけどね」
「きっと、穂積さんがそうやって甘やかすから、あの傲慢な和樹さんが余計つけあがるんですよ」
「じゃあ私が甘やかしている分、鈴花さんがあいつに厳しくしてくれますか?」
「これでも旅館の娘ですから、えらそうで横暴で迷惑な客のあしらいはなれてます。任せてください」
私が胸を張ってそう言うと、穂積さんは「それは頼もしいですね」と肩を揺らした。