俺の新妻~御曹司の煽られる独占欲~
そんな軽口をたたきながら、そう言えばと思い穂積さんに向き合う。
「穂積さん。和樹さんにアレルギーやきらいな食べ物があれば教えてもらえますか?」
「わざわざ和樹に手料理を作ってあげるんですか? いらないと言われたのに」
「気を使うなと言われただけで、作るなとは言われてませんから」
なにもしなくていいと言われて、はいそうですか。と素直にうなずくつもりはない。
彼の言うことを聞くおとなしくお利口なお人形さんでいる必要なんてないんだから。
そう主張した私を見て、穂積さんは楽しげに笑って穂積さんの食の好みを教えてくれてから、一枚の書類を出した。
「大切なことを忘れるところでした。さっそくですが、これに記入していただけますか?」
サイドテーブルに置かれたそれを見て、思わず目を見開く。
それは婚姻届けだった。
私が書くべき妻の欄以外は、もうすべて埋められていた。