俺の新妻~御曹司の煽られる独占欲~
裏
リビングのソファに座りタブレットでメールを確認しながら、さっきやりとりした鈴花との会話を思い返す。
今考えてみても彼女がどうして突然怒り出したのか全く理解できずにため息がもれる。
必要だからと仕方ないと納得して結婚したつもりだったけれど、やはりこの選択は間違いだっただろうか。
なんて思っていると、リビングのドアが開き穂積が入って来た。
「これ、記入してもらってきた」
そう言って、すべての欄が埋まった婚姻届けをこちらに差し出す。
「ありがとう。預かっておく」
ちらりと目を通してからうなずいた俺に、穂積はあきれたようにため息をついた。
「和樹。さっきのお前の態度はどうかと思うよ」
「責められるようなことをした覚えはないが」
「これから一緒に暮らす相手に、お前はなにもする必要がないなんて言われたら、普通怒るだろ」
「どうしてだ。なに不自由のない生活と、欲しいだけの金を用意すると言っているのに、彼女が怒る理由が理解できない」
「お互いの利害のための契約結婚だけど、これからお前たちは一緒に暮らすんだろ。偽りとはいえ家族になるのに、あんなことを言われたらお前の存在は必要ないと言われてるようなもんじゃないか」
穂積の言葉に、俺は黙り込んだ。