俺の新妻~御曹司の煽られる独占欲~
「鍋が噴きこぼれそうになってるぞ」
私の背後を見ながらそう言った和樹さんに、はっとして立ち上がる。
あ、そういえばお味噌汁を火にかけたままだった……!
慌てて火を消そうと手を伸ばそうとして、和樹さんに後ろから抱きしめられた。
左腕で私の肩を抱き、右手で私の腕をつかむ。
たくましい体に抱きしめられ、一気に鼓動が速くなる。
「危ない」
驚いて目を見開くと同時に、お味噌汁が入ったお鍋が音をたてて吹きこぼれた。
ジューっと真っ白な湯気が立つ鍋を、和樹さんの腕の中から見て息をのむ。
和樹さんが引き留めてくれなかったら、火傷をするところだった。
「気を付けろ。危ないだろ」
厳しい口調で言われ、ドキドキしながら頭を下げる。
「す、すみません」
「この白い腕に火傷のあとでもついたらどうするんだ」
和樹さんはあきれたようにそう言って、大きな手に掴まれた私の腕を見下ろした。
和樹さんの手に掴まれていると、非力な自分の腕がますます細く頼りなく見える。
まるで壊れやすくて繊細な宝物にでもふれるように、私の腕を和樹さんの指がそっとなでた。