俺の新妻~御曹司の煽られる独占欲~
肌に触れる指には愛情と優しさが込められている気がして、おそるおそる視線を上げる。
「和樹さん……?」
振り返り、私を抱きしめる和樹さんを見上げると、目が合った途端彼の頬が一気に赤くなった。
我に返ったように抱きしめていた私を放し、背を向ける。
「料理なんてしなくていいと言ったはずだ」
ぶっきらぼうな和樹さんに、むかっと怒りが湧いてきた。
「すみませんでした。私が勝手に作ったので、必要ないなら食べなくていいですから」
コンロの火を消しながら頬をふくらませると、和樹さんはこちらに背を向けたまま「もったいないから捨てるくらいなら俺が食べる」と言い残し洗面所へと歩いて行った。
別に、捨てるとは言ってないんだけどな。
でもせっかく作った料理を食べてもらえるのはやっぱり少し嬉しいかも。なんて思いながら、私は朝食の準備をする。